災害記録(久留米市水縄校区)

 
 享保5年7月九州北部豪雨の際,石垣村では,石垣山観音寺に伝わる牛鬼伝説の舞台となった牛切谷から土石流が発生しました.森部村でも,久留米市とうきは市の境界付近にある大谷の上流に天然ダムができ,それが崩れて村を襲いました.人家は土砂に埋まりましたが,幸い犠牲者は出ませんでした.また,益永村では大蛇の死骸を役人が検分する様子,森部村では法華経の力で大蛇を封じ込めた話が記されており,土石流の発生が大蛇と結びついていることが伺えます.以上のような歴史的な背景から,享保5年の豪雨災害に限らず,人々は土石流(山汐)と向き合って暮らしてきたことが伺えます.その事実は先祖からのメッセージと捉えて,豪雨が予想されている際には,雨が強くない内に,避難が可能な状況で,早めに安全な場所に移動するなど,安全確保を心掛けてください.


 享保5年7月九州北部豪雨による被災村落と現在の災害リスク

 享保5年7月九州北部豪雨で被災した村落が,現在どの程度の災害リスクがあるのかについて,下記の地図で確認できます.該当地域にお住いの方は,自宅が土砂災害警戒区域に入っているかを確認してみてください.

注意事項①:

下の地図の浸水域は,巨瀬川が氾濫した際の想定最大規模の浸水域のみを示しています.筑後川水系の浸水域の詳細に関しては,久留米市ハザードマップ,重ねるハザードマップをご覧ください.   

 久留米市ハザードマップ

 重ねるハザードマップ(国土地理院)

地図の見方については ⇒ こちら

注意事項②:

下記地図上(Google my mapにより作成)の各村落(丸印)をクリックすると,享保5年7月九州北部豪雨による災害の特徴についての説明を見ることができます.但し,画像・説明を同時に見ることができません.確認が煩雑になるので,詳しく知りたい場合は,下記の「各村落の被害状況」から,確認したい村落にアクセスしてご覧ください .

 

 

 

 各村落の被害状況(下記の村名をクリックすると詳細が確認できます)

※ 原文(くずし字),翻刻文,現代語訳,各地区のトピックは下記をご覧ください.

※ 各村落の位置については上の地図で確認ください.

 

地区(当時の村名) 被害状況・内容
麦生村西東 現象:土石流,砂石流入  建物:人家破損
田畑:酷く破損   死者:なし

<内容>
① 現代語訳 原文・翻刻文
② 麦生地区の土砂災害リスク
益永村 現象:土石流,砂石が流入して小山を築く
建物:人家破損,家財道具流出  田畑:破損  
松林:根こそぎ抜け倒れる
死者:なし  馬:被害なし
※ 首・尾尻がない大蛇が流れてくる

<内容>
① 現代語訳 原文・翻刻文
② 益永地区の土砂災害リスク
③ 大蛇と土石流
二田村 現象:土石流
建物:-------  田畑:破損  死者:なし

<内容>
① 現代語訳 原文・翻刻文
② 二田地区の土砂災害リスク
石垣村 大井村 六田村 現象:牛切谷から土石流,大石(横1.8m, 長さ3.6m)の流出
   小石・砂・古木根もおびただしく流れてくる
建物:人家,古墳,弁財天,八大龍王
   ,社(石垣神社か?)が破損
田畑:破損
死者:なし,但し,命の危険が迫る状況で助かっている

<内容>
① 現代語訳 原文・翻刻文
② 石垣地区,大井地区の土砂災害リスク
森部村 現象:大谷からの土石流(天然ダムの決壊)
建物:人家16棟破損(屋根の下まで土砂で埋まる)
   家財道具流失
松林:土砂で埋まる
田畑:砂石流入,永荒(えいあれ:使えなくなるほど荒廃)
死者:なし,但し,命の危険が迫る状況で助かっている
馬 :被害なし

<内容>
① 現代語訳 原文・翻刻文
② 天然ダム決壊の谷はどこ?
新田城跡(石垣村) 南北朝時代の山汐(土石流)の伝承
平家城跡(益永村) 室町時代の山汐(土石流)の伝承