享保5年旧暦6月21日(新暦7月26日),筑前国と筑後国,現在の福岡県で九州北部の豪雨災害史に残る深刻な災害が発生しました.前線が九州北部付近を停滞し,数日間豪雨が続き,トドメの豪雨が旧暦6月21日に起こりました.翌日から1ヶ月全く雨が降らなかったことから,梅雨末期の豪雨だとわかります.その影響で,背振山地東部の対馬藩田代領(現在の佐賀県基山町,鳥栖市あたり),筑後川流域全域(現在の朝倉市,久留米市,うきは市,大分県日田市),矢部川・星野川上流域,福岡城下,小倉城下,遠賀川下流域,周防徳山藩領(現在の周南市)で,河川の氾濫,土石流による災害が発生しました.特に,東西に延びる耳納山地の山麓では土石流が発生し,竹野郡,生葉郡で酷い災害となりました.耳納山地では,何度も土石流災害が発生し,今後も確実に土石流が襲ってきます.それが今年かもしれませんし,100年後かもしれません.耳納山地の山麓にお住まいの皆様は,いつ起こっても対応できるように,今一度,土石流災害のリスクを確認をして,豪雨の発生が予想されている際には,素早く避難できるように対策を立てましょう.
享保5年豪雨による被災村落と現在の災害リスク
享保5年7月九州北部豪雨で被災した村落が,現在どの程度の災害リスクがあるのかについて,下記の地図で確認できます.該当地域にお住いの方は,自宅が土砂災害警戒区域に入っているかを確認してみてください.
注意事項①:
下の地図(Google my mapにより作成)の浸水域は,巨瀬川が氾濫した場合の浸水域(うきは市の想定最大規模の浸水域)のみを示しています.筑後川水系の浸水域に関しては,久留米市,うきは市のハザードマップ,重ねるハザードマップをご覧ください.
⇒ 久留米市ハザードマップ うきは市ハザードマップ
⇒ 重ねるハザードマップ(国土地理院)
地図の見方については ⇒ こちら
注意事項②:
下記地図上(Google my mapにより作成)の各村落(丸印)をクリックすると,享保5年7月九州北部豪雨による災害の特徴についての説明を見ることができます.但し,画像・図・説明を同時に見ることができません.確認が煩雑になるので,詳しく知りたい場合は,下記の「各村落の被害状況」から,確認したい村落にアクセスしてご覧ください
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各村落の被害状況(下記の校区から各村落の詳細を確認できます)
久留米市草野校区
吉木村 矢作村 夫婦木村 今山村 小山田村 草野村 紅桃林村
久留米市竹野校区
隈村 平村 富本村 竹野村 徳間村 五郎丸村 大慶寺村 三明寺村 善院村 森山村 中原村
久留米市水縄校区
麦生村 益永村 二田村 大井村 六田村(場所不明) 石垣村 森部村
うきは市福富校区
冠村 千代久村 屋形村 安富村 延寿寺村 屋部村
うきは市御幸校区
流川村 小坂村 溝尻村 朝田村 隈上村 妹川村 新川村 田篭村 小塩村
星野村(八女市)
享保5年災害に関する壊山物語以外の記録
大村復興碑(大村) : 享保5年7月九州北部豪雨大村復興碑のメッセージ(大村全滅)
,深迫谷土石流と巨瀬川の氾濫
高橋大明神(吉井村) : 享保5年7月九州北部豪雨 社殿流失(現在の吉井地区も水害警戒)
妹川村(元有) : 享保5年7月九州北部豪雨 六地蔵の碑文の被災記録
合瀬耳納峠 : 享保5年7月九州北部豪雨 吉井から星野への峠道被災か?
本星野八幡宮 : 社殿流失,御神体は祈祷院村まで流される
耳納山地の山汐伝承
新田城跡(石垣村) : 南北朝時代の山汐(土石流)の伝承
平家城(益永村) : 室町時代の山汐(土石流)の伝承
災害悲話
災害悲話(流川村) : 大生寺で修行に励んだ少年僧侶の運命