安福規之
目的
人間社会が活動を続け発展していくために必要な生活基盤施設,産業経済基盤施設,国土環境保全施設などの社会基盤施設は全て地盤に支えられている。これらの施設を安全かつ経済的に建設し,その機能を十分に発揮させるためには,それを支える「基礎としての地盤」と「材料としての土」の特性を正確に理解し,それらを科学的に取り扱うことが重要である。地盤は自然の生成物であるために多様で複雑な特性を有している。この講義では,地盤とその構成材料の力学的および工学的特性に関する知識を修得する。また,技術者の倫理について,地盤工学にかかわる事例を通して討論し,その重要性を認識させる。
到達目標
1.土の基本的性質を理解し,その基本的物理量が具体的に計算できること。
2.地盤内の水の形態と挙動を理解し,ダルシー則と透水係数を用いた透水力や浸透力の計算ができること。
3.有効応力とモールの円を深く理解し,利用できるようになること。
4.土の圧縮,圧密現象と圧密理論を理解し,簡単な圧密沈下解析ができるようになること。
5.せん断変形とダイレタンシー,体積変化と間隙水圧の関わりを土の状態と関連づけて理解できること。
また,クーロンの摩擦則,土の破壊基準を理解し,利用できるようになること。
6.砂のせん断強さと液状化現象の特性との関連性を理解できること。
7.技術者の倫理について,各自が考え,倫理観を高める必要性を深く認識すること。
講義・演習の内容
主に講義形式で授業を行うが,理解度の確認のために演習も実施する。授業中に,講義内容に関する質問や理解度を確認するための小テストを必要に応じて行う。
履修要件
特になし。
授業時間
毎週 火曜日 4限目(14:50~)
時間外の学習指導
質問等がある場合には,随時,教員室にて対応する。できれば,事前に連絡してほしい。
スケジュール
内 容 | |
1 | 概説 [地盤の機能と役割,土の力学と地盤の力学,技術者の倫理] |
2 | 土の基本的性質(1) [土の生成と種類,土の基本的物理量] |
3 | 土の基本的性質(2) [土のコンシステンシー,土の分類,土の締固め] |
4 | 地盤内の水とその流れ(1) [地盤内の水の形態と挙動,毛管作用とサクション,ダルシーの法則と透水係数] |
5 | 地盤内の水とその流れ(2) [地下水の流れ,浸潤面をもつ地下水流,揚水] |
6 | 有効応力と透水力 [自重による応力,有効応力,透水力] |
7 | 応力とモール円 [組み合わせ応力,主応力,モール応力円] |
8 | 土の変形特性(1) [土の圧縮,圧密現象と圧密理論] |
9 | 土の変形特性(2) [圧密沈下解析(圧密試験,沈下量,沈下速度),二次圧密] |
10 | 土の変形特性(3) [せん断変形,ダイレイタンシー,体積変化と間隙水圧] |
11 | 土の強度特性(1) [クーロンの摩擦則,土の破壊基準,土のせん断試験] |
12 | 土の強度特性(2) [砂のせん断強さ,砂の液状化現象] |
13 | 土の強度特性(3) [飽和粘土のせん断強さ,強度増加率,不飽和土のせん断強さ] |
14 | 期末試験 |
成績評価
前記各項目に対応するレポート,演習問題を出題し,各段階の理解度を確認しながら講義を進める。
概念的な理解のみならず,具体的問題についての定量的把握と計算能力などが,出席状況,学習態度とともに評価の対象となる。
評価の割合は,期末試験(70%)、授業中の演習・宿題(30%)を基本として総合的に評価する。
100点満点中60点以上を合格とする。なお、出席率が2/3に満たない場合は、再履修とする。
教科書
松岡元著: 「土質力学」 (森北出版) をベースとしたノート講義とする
副読本/参考書
副読本・参考書は,授業中に随時紹介する。
連絡先
ウエスト2号館11階 地盤工学研究室1124号室 092-802-3378
E-Mail:yasufuku @civil.kyushu-u.ac.jp